川越周辺平地林観察会報告
開催日 2022年 06月 26日(日)
集合場所 川越水上公園
観察地 川越周辺平地林 同定場所;堀兼・上赤坂の森公園会議室
参加者 19名(会員17名、1日会員2名)
実施時刻 8:30~16:00
鑑定人 福島隆一、近藤芳明、村田紀彦、西田誠之、栗原晴夫、藤野英雄
世話人 西田誠之、藤野英雄、岡田久枝
報告 西田誠之
撮影 河野茂樹、西田誠之
a | 会長の挨拶 鑑定会の様子(1) 鑑定会の様子(2) 鑑定会の様子(3) (実施日までの経緯) 私が世話人に任じられてからも、当会が、日本菌学会から委嘱されて「埼玉フォーレ」を実施した年(2015年)以外は、毎年欠かさず、当地を観察場所に指定して、年初の観察会を実施して来た。 それから、まる3年の間、新型コロナウィルスによる災厄の為に、本観察会を実施できなかった。こんなことを、誰が予想しただろうか、、 集合場所は川越水上公園内の駐車場、観察地は2か所、観察採集後は、再び水上公園内に戻って駐車場脇の木陰で同定作業を行う、従来実施して来たと同じ内容で準備を整えた。しかし、前日になって、福島会長から電話があり、「終了後、役員会を実施したいので、どこか、その為の部屋を用意して欲しい」とのこと。 思案した結果、観察地の一方である「堀兼・上赤坂の森公園」の事務所に連絡、会議室使用の希望を申し入れたところ、女性の担当官が親切に応じて、予約を即決して下さった。また、室内には、「椅子、大机の用意もある。そこで、きのこを並べても、後始末をしてくれれば良い」とのこと。すぐに、福島会長と相談して、役員会だけではなく、同定作業も本会議室で行うこととした。この変更を参加者全員に事前に伝えることは、時間的にも困難だった。しかし、朝の集合時間や集合場所に変更はないので、明日の集合時に、福島会長が年始の挨拶と共に全員に伝える、とのこと、、その為、事前連絡は、両副会長と、私と共に世話役を務める藤野さん等、限られた方々のみにさせて戴いた。その連絡の際、大舘副会長が、自ら主催する会のきのこ観察会と実施日が重なった為、本観察会を欠席される、ということを知った。大舘副会長が欠席されるのは、私にとっては初めてのこと。本年、お体を痛められ手術されたが、順調に回復されたと聞いていたので、お会いできるのを楽しみにしていたのだが、、一方、藤野さんの返事は、ただ一言、「同定場所が会議室になって、それで、シートはどうすれば、よいのか? 会議室でも必要か?、そこへ持ち込めば良いのか?」私は即座に「会議室でも必要、猶更必要!」と返答した。 (実施日の状況) 何か、大きなイベントがあり、すでに多数の車があったが、所定の停車場所は、すぐ傍の木陰も芝地も、静かで、以前と変わらなかった。朝の新聞の1面には、「猛暑、6月なのに、早や40℃越え!」との大見出しがあった。しかし、木陰の芝地は、微風もあり爽やかだった。しばらく皆さんを待っていると、いち早く、馴染みの役員の方々が来られ、またメールのあった主婦の方(吉田ゆう美さん)が来られた。幼い男のお子さんと一緒だった。声をかけると、お二人の御子のうち、上のお子さんは都合で来られなくなった、とのこと。来られたのは、小学1年生の穣(じょう)君だった。お母さんに寄り添って、大人しく、木陰に佇んでいた。私は、大の子供好きなので、早朝、採取した大きな硬いきのこ(オオチリメンタケとホウロクタケ)を車から取り出して、「猿の腰掛け」っていうキノコだよ、と言いながら、差し出した。穣(じょう)君は、一寸びっくりしたようだったが、「僕ならば、腰かけられるかな?」と重ねて言うと、はにかみながら、一寸御尻に敷くような素振りをしてくれた。 しばらくして、また嬉しいことに,仙台へ転勤して久しく会うことがなかった河野さんがご夫妻揃って、突然、出現!された。仙台赴任を終えたらしいとは聞いていたが、あまりに唐突だったので、籾山さんと一緒に思わず、大喜びしてしまった。そして、真っ先に、傍にいた会報担当の沼田さんを引き合わせた。お二人は全くの初対面だろうから、、、(沼田さんは、私が会報担当を12年担当し、疲弊しきって交代を申し入れていた時、ただ一人、私の耳元で、そっと「私がやってもいい」と言ってくれた人である。以来、栗原さんとともに、編集から印刷会社とのやり取り迄すべてをこなしてくれている。一方、河野さんは、故上原貞美氏ゆずりの写真の名手である。今後は、お二人で、またHP担当の島田さんとともに、見事なきのこ映像の載った会報や、ホームページを提供してくれるだろう、、)こんな思いを巡らしながら、私がかまけていると、いつも、明るく朗らかな岡田久枝さんが、受付名簿をすっかり記入済みにして、差し出してくれた。 参加者が揃ったところで、福島会長が、改めて、年初の挨拶をされ、さらに、本日の観察会の予定、同定場所の変更、終了後の役員会の実施等について説明された。その中で、前会長の松村祐二氏が亡くなられ、弔問に行かれたことが報告された。 その後は、川越水上公園事務所への対応を残している私を除いて、すぐに、皆さん、すみやかに車に分乗して採集現場へ向かった。幸い、採集地へ直行された方はいなかったようである。 (観察地にて) 観察地の雑木林の様子は、周辺の畑地も含めて、両方とも、以前と殆ど変った様子はなく、ゴミ等もなく、樹木もよく手入れされていた。その割に人影は少なく、静寂そのものだった。それ故か、歩道や踏み跡以外は、笹や草の丈がやや伸びて、地上生の小さなきのこは、見つけにくかったかもしれない。 前日、下見をした下松原地区では、衰えたコナラやケヤキ等が伐採されて、大きな切り株や倒木が多くあり、そこに硬質の腐生菌が幾種も群がっていた。特にホウロクタケが、ガサガサ音でも立てているかのように、群生していた。大きな切り株の一番上に、さらにひときわ大きな菌が生えていた。お母さんと参加するお子さんに見せてあげようと大汗をかきながら切り取ったが、実は、私はそれに苦労して、本種をよく確認していなかった。本種は、オオチリメンタケだった。傘の表面からしてホウロクタケとは明らかに相違し、管孔はチリメン状で、一目見れば、それと気付く筈なのに、、本種は、ブナ帯では普通に見られ、チリメンタケと違って、本来、山地生、冷温帯の菌の筈である。しかし、今では、神奈川の平地でも普通に見られるとのこと。私も、かってここで何度か、採取したことがあり、標本にして保存している。当地でもすっかり定着して、頒布しつつあるようである。他には、この時期見つけやすいサビハチノスタケを探してみた。ようやくコナラの小枝についた一つを見つけた。 軟質のきのこでは、チチタケ属のツチカブリ等は、ぽつぽつ見られたが、ベニタケの仲間は、まだ少なく、ヒビワレシロハツぐらいで、ドクベニタケやケショウハツ等良く目立つ種は、まだ、これからなのか、私は目にしなかった。マツオウジやアカヤマドリ等もまだ幼菌ばかりだった。3年前にみつけたアセハリタケは、老衰した傘が2片だけ残っていた。奇主のコナラの大木の切り株は、食べ尽くされてボロボロにされていた。見事なキタマゴタケの成菌を一つ見つけ、写真を撮った。(しかし、本種は同定会場に持ち込んだ時には、ベチャベチャに崩れてしまっていた。) (堀兼・上赤坂の森公園および周辺の雑木林にて) 当地へ向かう車道の周辺には、よく手入れされた広大な畑地が広がっているが、実施日には、そこから夏空遥かに、大岳山等奥多摩の山々がよく見えていた。 本公園の所定の駐車場やすぐ脇の林道には、いつも多くの車が停車している。 サッカー場の利用者等だけでなく、憩いの一時を過ごす来園者も多いようで、この日も同じだった。公園内は、以前にもまして、清潔によく手入れされており、ゴミ溜め等はもとより、腐木や、朽葉等の溜まり場等も見当たらない。その為か、以前良く見られたコムラサキシメジ等の腐生菌や、アンモニア菌等は見られなくなった。以前、古い木製のベンチ等に見られたナメシスギタケと仮称していた菌(コツブチャツムタケ)等も、さっぱり見あたらない。必然的に菌根菌を探すことになるが、園内の松林に出るヌメリイグチ等も、この日は、まだ見られなかった。 公園裏手の林内には、菌根菌が、毎年、多種、多数発生するが、私は急ぎ足で歩いただけで終わってしまった。高橋春樹さんが、当地等の標本をもとに新種発表したクリイロニガイグチが毎年出る場所へも行ってみたが、私は見つけられなかった。(本種は、当日、採取されていて、同定会場にて展示された。) (同定会場にて) 今回、はじめて使用させて戴いた堀兼・上赤坂の森公園 会議室であるが、私は、過去何度も、本公園を訪れていながら、中へ入ったのは、初めてだった。 使用を即決して戴いた女性の担当官の方に御礼を述べて、必要な手続きを終えて入場してみると、二部屋つなげた中は、清潔で新築したばかりのように真新しく、また十分な広さがあり、すでにクーラーが聞いていて、快適そのものだった。 折り畳みの大机や、椅子も用意されていた。中央にきのこを置く大机を必要なだけ配置しても、左右前後とも、椅子をおいて座ることが出来、展示物や荷物をおくにも、十分な広さがあった。籾山さん等と藤野さんが持ってきてくれたシートを敷く等必要なだけの準備をして、私は、食事の為、また川越水上公園への所要の為、いったん退出した。 戻ってきた時には、すでに皆さんが採取したきのこを提出済みで、分類プレートに準じて、並べている最中だった。私は、この時気が付かなかったが、分類プレートは、私が用意しておいていったものが並べてあると思っていたが、実は、この日は、栗原さんが、コピーして、全く、同じものを用意していてくれたのだった。これがないと採取したきのこを並べられない。急に、肩の荷が下りた気持ちになった。 この日、同定された種は、別表の通りである。 同定後、福島会長から、採集種の詳しい解説、講評があった。 (一般参加された吉田ゆう美さんと穣(じょう)君は、福島会長と一緒に観察地を歩かれたが、講評の最後まで残って視聴されていた。私は穣(じょう)君とあまり話が出来ず残念だったが、きのこの名前を、驚くほど良く知っていた、とのこと、時折天才児が現れるが、穣(じょう)君もそうなのかもしれない。 また、公園事務所の担当官の方も、仕事の合間に入室され、福島会長の解説を聞いてくださった。)
福島会長解説
オオチリメンタケ 今までに見たこともないような大型のオオチリメンタケが持ち込まれていた。 オオチリメンタケは、北方系であると言われており傘表面に毛がある。標高の高い所に行くとほとんどオオチリメンタケである。チリメンタケは、一般に南方系と言われており、傘表面に毛が無い。埼玉県の平野部では、ほとんどチリメンタケである。 ホウロクタケ 特大サイズのホウロクタケも持ち込まれていた。管孔が荒く丸いと記載されているが、多くの個体を見比べると迷路状に成っているものも多い。チリメンタケやオオチリメンタケは、白色腐朽菌であるがホウロクタケは、褐色腐朽菌である。培養してみると褐色腐朽菌の方が難しい。 ツヤウチワタケとツヤウチワタケモドキ 川越南文化会館周辺の林を歩くと、ツヤウチワタケとツヤウチワタケモドキが同居している倒木をよく見かける。両者の違いは、傘の色調と傘肉の厚さが異なる。ツヤウチワタケは傘の色が栗褐色であり肉が薄い。ツヤウチワタケモドキは、傘の色調が、灰褐色~暗褐色で光沢が鈍く傘肉が厚い。 ウチワタケ ツヤウチワタケとツヤウチワタケモドキと形態が良く似ている硬いきのこにウチワタケがある。傘の色調が焦げ茶暗灰褐色であり、傘表面に毛が有る事で区別できるが、長い経験の中でスダジイの老木の下に行くと沢山落ちている。スダジイは無いかなと探すことも勉強になる。上記3種は、白色腐朽菌である。 マンネンタケ(白色腐朽菌) 梅雨の頃、広葉樹の切り株やその周辺の地面から出ている事が多い。生長するに従い黄白色→黄褐色→赤褐色に色が変わって行く。管孔部や傘の周辺が黄白色の間は生長する。松材から出て来るマゴジャクシでも、成長初期は、マンネンタケの様な色調が有るので針葉樹なのか広葉樹なのかを見分ける必要もある。 サワフタギタケ(白色腐朽菌) 今回の勉強会で桜に出ているツガサルノコシカケかと思われる色合いの堅いキノコが見られた。ウズラタケ?かとも思われたが、思い切って割ってみた。透明感のあるモザイク模様が見られたのでサワフタギタケである事が判った。 オオミノコフキタケ(白色腐朽菌) 鑑定会場のケヤキの生きた幹にも大きなコフキタケが生長していた。一日会員の吉田君と林の中を歩いていると周辺部にココアの粉を撒いた様な所が見られた。成熟した大きなオオミノコフキタケが見られた。もちろん傘の表面は図鑑に見られるような分厚いチョコレート色の胞子が覆っていた。 アミスギタケ(白色腐朽菌)とヤグラタケ アミスギタケとヤグラタケが見られたので培養の話をした。培養を始めた頃 アミスギタケが試験管培地中で子実体を作る事が判ったので500ml三角フラスコを使いどの位で子実体ができるか試験を行ったことが有った。約2週間で子実体ができたことに大変驚いた。ヤグラタケの試験は昔からよく行ってきたが、 一年前に行った試験管培地に形成されていた子実体硬壁胞子を新たな試験管培地に落としたところ、5日で子実体が形成されてきた。これらのキノコは生物の良い実験教材になると思っている。 スジウチワタケモドキ(白色腐朽菌) 今回の勉強会でも10センチを超える大型のスジウチワタケモドキがみられた。林床が乾燥気味であったので、傘の汚れや腐れが見られず培養には大変良い状態であった。培地の菌叢に何処か青っぽいところが見られた事もあり、やってみないと決してわからない事である。 ハカワラタケ(白色腐朽菌)
立ち枯れ木にびっしりと付いている場合が多く、成長期の傘周辺部は少し紫がかって見える。子実層は、薄歯状に裂けるものが多く見られる。寒天培地上では、菌糸生長はそれほど早くない。 アズマタケ(アカマツの根株心材白色腐朽菌) サジタケにしては色が濃いと思って見ていたが、京都の菌神社で何度も採集しているので間違い無いと思った。その昔、松村祐二様ご夫妻と初めて川越の赤坂の森でお会いした時にも、竹かごの中に見事なアズマタケが入っていた。この頃アズマタケの事を知っていたのは、今関先生にお教えいただいたものと思われる。35年前赤坂の森には、沢山の赤松が残っており、多くの菌根菌も見られた。その後、松枯れが激しくなり10年程で赤松は全滅してしまった。 チャウロコタケ、キウロコタケ、サビウロコタケ??、ケシワウロコタケ チャウロコタケ、キウロコタケ等は、初雁高校周辺の森では、ごく普通に見られる。6月18日、松村様と菊池様の所にご挨拶に行った帰りに下見をした時には、 まだ梅雨が明けきらず多くのベニタケ類、アセタケ類、キウロコタケ、ケシワウロコタケなどが見られた。今回、チャカイガラタケと書いた種に付いて近藤さんから指摘を受け、傘の裏側を良く見るとヒダではない。こんな間違いをすることは許されないと反省した。 ホウネンタケ、エゴノキタケ(白色腐朽菌) ホウネンタケは、コナラの倒木等に普通に見る事が出来る。成長期は少し灰紫色がかるものが多い。エゴノキタケは、エゴノキに発生しており、荒いヒダが迷路状になっているので判りやすいキノコです。滅菌原木に接種した場合には、どのような原木にも出るのかという幼稚な好奇心が有ります。 ヒイロタケ、アラゲカワラタケ、カワラタケ、スエヒロタケ(白色腐朽菌) 直射日光が当たるような環境に適応したきのこ達です。倒木や落ち枝にこれらのキノコが発生していたら、直射日光に曝されたことが有ると思って下さい。 マツオウジ その昔、熊農でマツオウジの栽培をした時の様な新鮮な個体を見る事が出来た。 傘が無くても、柄の付け根の匂いを嗅げばマツオウジは判ります。と言い、マスクを外して匂いを嗅いでも感覚が全開になるまで時間が掛かり、もどかしい思いをする。小型で色白なツバのあるマツオウジも有り、ツバマツオウジと言います。夏のカラマツ帯では普通に見られます。 軟らかいキノコでは、ベニタケ類、チチタケ類、テングタケ類をはじめ多くのキノコが見られました。 ベニタケ類 ヒビワレシロハツ、ケショウハツ、ウコンハツ、チギレハツ、オキナクサハツ、クロハツ、アイバシロハツ、ドヨウハツ(青木)カワリハツ、ドクベニダマシ、アイタケ、ヤブレベニタケ、ウコンクサハツ等 今回の観察会では、ウコンハツとウコンクサハツがそれぞれ1個づつ見られました。以前種が、判らなかった時には、薄色ウコンハツと呼んでいましたが、新潟県のキノコ112頁に記載されているので読んでください。 チチタケ類 ツチカブリ、ケシロハツ、チチタケ、チョウジチチタケ、ワタゲチチタケ(仮名)のような大型のチチタケ イグチ類 アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、ムラサキヤマドリタケ、コゲチャヤマドリタケ(仮名)?クロアザアワタケ、アワタケ属、スミゾメヤマイグチ、ホオベニシロアシイグチ、等 テングツルタケ、タマゴテングタケモドキ、ツルタケ、フクロツルタケ、オオツルタケ(古かったので会場には持って行きませんでした。) ヒイロベニヒダタケ、ウラベニガサ属、ベニヒダタケの仲間、コキララタケ オゾニウムが沢山見らたがキノコは溶けてしまっていました。ニガクリタケ アセタケ属、チャツムタケと同定してあった種は恐らくミドリスギタケであると思います。持って帰り培養すればすぐわかるのですが。今後の会の運営の事が気掛かりでそこまで手が回りませんでした。 腐生イグチについて 久しぶりに河野さんとお会いしたので立ち話で腐生イグチの話をしました。 1987年9月15日クリカワイグチ(仮名)菌株№626大井町赤松切株上 1987年10月4日クリカワイグチ(仮名)菌株№702初雁高校周辺赤松切株上 昭和62年の秋、現在観察している林は、松枯れによる伐採赤松が沢山あり、たまに切り株からイグチが出ていることが有りました。クリカワイグチという仮名で菌株保存をしたことが有ります。これらの菌株は現在残っておりません。1992年夏の宿泊勉強会で富士山のキノコを観察した折、クリカワイグチ(仮名) によく似た腐生イグチを培養しました。そのご、古末さんが八ヶ岳で採取され熊農に持ってこられた唐松に出ていた腐生イグチを栽培して見ましたが、クリカワイグチと異なり子実体原基周辺には、濃黄色の菌糸束が見られたので、クリカワイグチ(仮名)とは種が異なると思っています。根田仁さんがザイモクイグチという和名で新種記載した種も柄の付け根に黄色い菌糸束が見られる事からすると、もしかすると種が異なるかもしれません。河野さんが仙台に行く前の事ですが、嬬恋の勉強会で唐松から採集した腐生イグチや榛名湖畔の唐松立ち枯れ木で採集した菌株等沢山の株が有ったのですが、赤城きのこ園の試験準備室に置いたところ、きのこダニの大発生により全滅してしまいました。自宅に置いてあった富士山で採集した株が残っていたので昨年様々な培地の工夫を行い、子実体を作る技術を開発いたしました。一昨日、菌チェックと種菌作りを致しました。今年こそ腐生イグチのボトル栽培を完成させて、日本産腐生イグチに迫ってみたいものです。凍結保存の勉強を理化学研究所で行ってきたので現在は、大事な株をだめにしてしまう事は避けられると思います。ちなみに、凍結保護材にグリセリン10%、トレハロース10%、純水80%を使っています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 観察会終了後、その場で役員会を行い、今後の会の在り方について、特に会員が減少、高齢化する中、どのような対応すれば良いか、協議した。全員が、それぞれ考えを述べた。一定の結論には達しなかったが、今後も観察会の度に協議して、有効策があれば、即実施を目指してゆくことになった。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 本稿を閉じるにあたって、末筆ながら、快適な会議室を使用させて戴いた堀兼・上赤坂の森公園の管理事務所の皆様に、伏して御礼を申しあげます。数々ご配慮いただき有難うございました、、、。
川越周辺観察会(2022.6.26)―確認種一覧
担子菌門
(ハラタケ目)
スエヒロタケ科 スエヒロタケ属:スエヒロタケ タマバリタケ科 ツエタケ属:ツエタケの仲間1種 マツカサタケ科 ミミナミハタケ属:イタチナミハタケ シメジ科 ヤグラタケ属:ヤグラタケ ポロテレウム科 ヒロヒダタケ属:ヒロヒダタケ、 テングタケ科 テングタケ属:キタマゴタケ、 フクロツルタケ、 ウラベニガサ科 ウラベニガサ属:本属の1種 ヒイロベニヒダタケ、 ハラタケ科 ノウタケ属:ノウタケ、 モエギタケ科 ニガクリタケ属:ニガクリタケ アセタケ科 アセタケ属:本属の1種
(以上 ハラタケ目―12種)
(イグチ目)
イグチ科 ヤマドリタケ(イグチ)属:ヤマドリタケモドキ、 ニガイグチ属:クリイロニガイグチ、ホオベニシロアシイグチ、ミドリニガイグチ、 ヤマイグチ属:アカヤマドリ、スミゾメヤマイグチ、 キヒダタケ属:キヒダタケ、 デイプロシスチジア科 ツチグリ属:ツチグリ、 ニセショウロ科 ニセショウロ属:ヒメカタショウロ、 (以上イグチ目―9種)
(ベニタケ目) べニタケ科 ベニタケ属:クロハツ、アイバシロハツ、ヒビワレシロハツ、アイタケ、 オキナクサハツ、ウコンハツ、ウコンクサハツ、ヤブレベニタケ、 ケショウハツ、 チチタケ属:ツチカブリ、チチタケ、チョウジチチタケ、ケシロハツ、 ヒロハウスズミチチタケ、本属の1種,
マツカサタケ科 ミミナミハタケ属:イタチナミハタケ ウロコタケ科 キウロコタケ属:チャウロコタケ ((以上ベニタケ目―17種)
(キカイガラタケ目)
キカイガラタケ科 マツオウジ属:マツオウジ (以上キカイガラタケ目―1種) (タマチョレイタケ目)
マクカワタケ科 エゾハリタケ属:アセハリタケ ツガサルノコシカケ科 ホウロクタケ属:ホウロクタケ タマチョレイタケ科 ヒトクチタケ属:ヒトクチタケ マンネンタケ属:オオミノコフキタケ タマチョレイタケ属:アミスギタケ スジウチワタケモドキ ウチワタケ属:ウチワタケ、 ツヤウチワタケ シュタケ属:ヒイロタケ シロアミタケ属:アラゲカワラタケ クジラタケ、カワラタケ オオチリメンタケ カイガラタケ属:カイガラタケ チャミダレアミタケ属:エゴノキタケ チャカイガラタケ キンイロアナタケ属?:サワフタギタケ ホウネンタケ属:ホウネンタケ サビハチノスタケ属:サビハチノスタケ
ツヤウチワタケモドキ
(タマチョレイタケ目―所属科未確定種) オツネンタケ属:ヒメオツネンタケ チャツムタケ属:チャツムタケ (以上タマチョレイタケ目―22種) (タバコウロコタケ目) タバコウロコタケ科 キコブタケ属:ネンドタケ、ネンドタケモドキ カワウソタケ属:アズマタケ (タバコウロタケ目―所属科未確定種) オツネンタケ属:ニッケイタケ、 シハイタケ属:シハイタケ、ハカワラタケ (以上タバコウロコタケ目―6種) 子嚢菌門 (クロサイワイタケ目) クロサイワイタケ科 ヒポキシロン属:クロコブタケ (ノボリリュウタケ目) ノボリリュウタケ科 ノボリリュウタケ属:ノボリリュウタケ (チャワンタケ目)
チャワンタケ科 チャワンタケ属:本属の1種 オフィオコルジケプス科 テイラクリデイオプシス属:オサムシタケ
(以上子嚢菌―4種) (合計71種) (上記は同定標に記入された種のみ、記載しました。他にも観察された種、未同定の
種もありました。福島会長の解説を御読みください。 また、他に、以下の変形菌が採取、展示されました。 マメホコリ、ウツボホコリ、オオムラサキホコリ、シロウツボホコリ、 |